涙小管炎・涙嚢炎

涙小管と涙嚢は涙の通り道(涙道)の一つです.

涙道の解剖
涙道の解剖

涙小管炎・涙嚢炎は多くは細菌感染による炎症です. 涙小管炎の原因菌が嫌気性菌であるのに対して,涙嚢炎の原因菌はブドウ球菌或いは連鎖球菌です. 涙小管炎は主訴として眼脂,流涙,眼瞼縁,痛み等がありますが,多くの症状は軽度です.涙嚢炎は涙小管炎に比べ,痛みが強く,目頭の腫脹,発赤が見られます. 治療は涙小管炎では抗生物質(ニューキノロン系等)点眼(+抗生物質内服).涙小管を洗浄し,膿を取り除き,抗生物質やヨード液を潅流することもあります.温罨法が有効です. 涙嚢炎では涙小管炎とは異なり,多くは抗生物質点眼のみでは不十分で,第1選択は抗生物質内服(広範囲ペニシリン系,第1セフェム系)です. 涙道洗浄は,涙道を損傷する可能性があり,通常は行いません.自宅では温罨法が有効です.小児では入院が必要になることがあります.