ぶどう球菌過敏症(辺縁角膜炎・フリクテン)

辺縁角膜炎

ブドウ球菌毒素に対する過敏反応によって抗原抗体複合体が角膜周辺部で結膜から離れが部分に沈着し,リンパ球が浸潤して炎症が起こると考えられています.浸潤部位の一部の上皮が欠損し,近傍の結膜も充血します.慢性眼瞼炎の合併がしばしば見られます.症状は異物感,充血,流涙ですが,多くは軽度です.治療は,慢性眼瞼炎がある場合は眼瞼炎の治療が必要です.辺縁角膜炎の治療はステロイド点眼或いはステロイド点眼と抗生物質点眼の併用です.再発がみられる場合は,抗生物質(成人にはテトラサイクリン,小児にはエリスロマイシン)の内服が処方されることもあります.無治療でも1か月程度で消失しますが,炎症部位の瘢痕と上皮の菲薄化が残ることがあります.また,再発性角膜びらんやLASIK後では広範囲に浸潤することがあります.

辺縁角膜炎
辺縁角膜炎

フリクテン

日本などの先進国ではブドウ球菌抗原に対する遅延型過敏反応が原因だと考えられています.(開発途上国では結核や蠕虫の感染症が原因です.)

多くは小児から若年者でみられ,眩しさ,流涙,異物感を訴えます.角膜近傍に白い結節とその周りに充血が見られますこれを結膜フリクテンと呼びます(下図).この結膜フリクテンはしばしば結膜の血管と共に角膜上に侵入します.これを角膜フリクテンと呼びます.フリクテンが角膜上に侵入します.多くは数週間で沈静化しますが,重症例では角膜が穿孔することもあります.

結膜フリクテン
結膜フリクテン
角膜フリクテン
角膜フリクテン

フリクテンも辺縁角膜炎と同様,慢性眼瞼炎の合併がしばしば見られます.治療は辺縁角膜炎と同様です.