角膜の最も内側に一層の角膜内皮細胞があり(下図:角膜の日本眼科学会:眼の病気 角膜感染症HPより),前房水から角膜に必要な物質と栄養を角膜に取り込み,逆に,角膜内の水を前房に送るポンプ作用によって,角膜の透明性を維持しています.この角膜内皮細胞には再生がありません.角膜内皮細胞が少なくなり,角膜の透明性が維持できなくなった状態が水泡性角膜症です.
症状は視力低下,眼痛,流涙,異物感,眩しさ,充血などです.
角膜内皮細胞が少なくなる原因として,眼科手術(閉塞隅角緑内障におけるレーザー虹彩切開術や白内障手術など),外傷,眼圧上昇,コンタクトレンズの長期装用,角膜変性などがあります.
白内障手術などの前眼部手術では術前に角膜内皮細胞密度を測定します.角膜内皮細胞密度が少ない場合,手術ができないこともあります.
治療として,5%食塩水点眼,角膜移植術など,多くは専門病院での治療が必要です.