局所的に角膜上皮基底細胞と基底膜との接着が悪くなり剥離し,角膜神経が刺激され,強い痛みと流涙が,表層が粗面化して眩しさが出現します.睡眠中に角膜上皮と瞼間の摩擦など,小さな損傷が原因だと考えられていますが,過去の角膜上皮の損傷や角膜変性の基礎疾患がある方で起こることもあります.
発症時の治第一選択の治療は防腐剤の入っていない人工涙液(ヒアレイン点眼®,ジクアス点眼®,ムコスタ点眼®等)と睡眠前に眼軟膏(フラビタン眼軟膏®等)です.痛みに対しては睡眠前に散瞳薬点眼(サイプレジン点眼®など)やNSAID内服薬が処方されることもあります.これ以外に,5%食塩点眼薬,涙点プラグ挿入,眼球圧迫眼帯,治療用コンタクトレンズ装用,創面切除(デブリードメント),角膜実質穿刺,レーザー治療である治療的表層角膜切除術(PTK)があります.病名から分かるように,再発が見られ,多くは数か月から年単位の経過観察が必要です.
アメリカではコンビネーション治療が行われるようになっています. コンビネーション治療はステロイド点眼薬と抗菌剤のdoxycyclineの内服です.doxycyclineは抗菌剤以外に,抗炎症作用があり,角膜表皮基底膜の足場タンパク(scaffold ptotein)をかい離する際に使われているタンパクの効果を抑制します.ステロイド点眼薬にもこの抑制効果があり,コンビネーション治療によって,早期治療と再発の予防します.当院でもこのコンビネーション治療を行っています.