網膜動脈の動脈硬化によって隣接する網膜静脈が圧迫され,血栓が起こり,網膜に出血し視力低下,視野障害の症状が出現します.動脈硬化,高血圧,糖尿病などの全身疾患で起こることがしばしばみられます.全ての網膜静脈が閉塞する網膜中心静脈閉塞症と一部分の網膜静脈が閉塞する網膜静脈分岐閉塞症に分けられます.図1は網膜静脈分岐閉塞症写真です.
閉塞の状態も,完全閉塞に至る前の切迫型(図2),黄斑部が腫れる黄斑浮腫,新生血管が出現し(図3),さらに新生血管緑内障や硝子体出血硝子体出血が起こる場合など,いくつかの段階があります.切迫型では抗血小板内服,黄斑浮腫や新生血管が出現すると抗血管新生療法(抗VEGF療法)や網膜光凝固が必要になります.治療の第一選択は抗血管新生療法,第二選択は網膜光凝固です.何れも高額(健康保険3割で費用は4万円台)で,黄斑浮腫の再発が起こることが多いため,この再発を予防するために,抗血管新生療法と網膜光凝固の両者を行くことが一般的です.この網膜光凝固術のレーザー治療として,従来型に比べて安全性と治療効果が優れたマイクロパルス・レーザーを導入することになりました.費用は従来型と同じです.
新生血管緑内障や硝子体出血が出現すると緑内障手術(濾過手術)や硝子体手術が必要になることがあります.