新たな屈折矯正治療として就寝時コンタクト(オルソケラトロジー)を行っています。 オルソケラトロジー(ナイトレンズ(メーカーWeb))とは、一般的なコンタクトレンズとは異なり、寝ている間に特殊な形状をしたレンズを装用する事で、角膜の形状が正しく矯正され、朝レンズをはずしてもその角膜形状が維持されている間は、裸眼で過ごすことができるという、新しい視力矯正法です。原理的にはレーシックと同じですが、レーシックが角膜を削るため、角膜の形状変化が不可逆的であるのに対して、オルソケラトロジーによる角膜の形状変化は一時的で、装用を中止すると数日で元の形状に戻ります。
最近では、アメリカや日本国内でもレーシック難民の問題が指摘されております。これはレーシック手術後に良い治療結果が得られず、多くの患者様が路頭に迷っている問題で手術による不可逆性が原因となっております。一方、オルソケラトロジー治療は可逆性なので、就寝時の装用を中止すれば角膜を元に戻すことができるため、メガネやコンタクトレンズなどの他の矯正方法に切り替えることも可能です。 加えて、最近ではオルソケラトロジーの「近視抑制効果」も注目されており、今後は近視が進行している小児のみなさまへの更なる治療効果が期待されております。以下はアメリカでの年齢別でのオルソケラトロジーの分布図です(Optometry and Vision Science, Vol. 90 No. 9, September 2013)。最も多い装用者は近視が進行することの多い、8歳から17歳の方です。
これは、日本でも同様に近視が進行する小中学生に処方されていました。しかし、オルソケラトロジー治療法に否定的な日本眼科学会専門医もおり、以前の日本眼科学会のガイドラインでは装着できる年齢は20歳以上となっていました。実際に処方されている状況を考慮し、2017年に改訂されたガイドライン(第2版)では「原則20歳以上、未成年は慎重処方」となっています。(私が監修した記事「寝ながら視力矯正。不思議なコンタクトレンズ「オルソケラトロジー」とは」をご覧ください)当院では近視抑制の目的で20歳以下の患者さんに対してオルソケラトロジーをお勧めいたします。適応患者は中程度の近視で乱視が軽度の方です。特に以下の方にはお勧めです。
- LASIKなどの手術は避けたい方
- スポーツなどでコンタクトや眼鏡はかけたくない方
- 近視の進行を抑制したいと考えている方
当院では東レ社のナイトレンズ(ブレスオーコレクト)を採用しています。ブレスオーコレクトの特徴と当院での流れは以下をクリックしてください。
メーカーUniversal Viewのホームページ
当院でのナイトレンズ(ブレスオーコレクト)の特徴と流れ
近視については近視の進行防止をご覧ください。当院ではオルソケラトロジー以外に、科学的に近視の近視抑制があることが分かっている低濃度アトロピン点眼薬も取り扱っています。