糖尿病網膜症

糖尿病網膜症では網膜にある毛細血管が障害されます. 糖尿病網膜症は進行過程により,単純,前増殖,増殖網膜症に分けられます. 網膜毛細血管が脆いことによって,血液が漏れ(単純網膜症),網膜に十分に血液が流れなくなり、虚血状態になり(前増殖網膜症),虚血状態が続くと,新たな血管(新生血管)が作られます(増殖網膜症).この新生血管が出来ると,視力を悪化させる増殖膜が生まれ,網膜剥離や硝子体出血などが起こりえます. 糖尿病網膜症の合併症として糖尿病黄斑浮腫があります.網膜の中心部分を黄斑と呼び,糖尿病黄斑浮腫はこの部分が腫れる状態で,視力低下を引き起こします. 糖尿病網膜症の治療として,抗血管新生療法(抗VEGF療法)レーザー治療(網膜光凝固術),ステロイド注射(トリアムシノロンテノン下注射),硝子体手術があります.抗血管新生療法は新生血管を引き起こす血管内細胞増殖因子(VEGF)という蛋白を抑える抗VEGF薬(ルセンティス®或いはアイリーア®)を硝子体に注射することによって,新生血管を退縮させる治療で現在の第一選択治療です.レーザー治療も網膜を凝固することによって新生血管を抑制させます.以前は新生血管と増殖膜が出現した場合の第一治療は網膜光凝固術でしたが,抗血管新生療法の有効性が非常に高いことと,従来の網膜光凝固術では,網膜が熱損傷を引き起こし,視力低下,視野障害を引き起こす合併症があるために,以前に比べて,行われなくなってきています.この従来型の副作用を軽減した治療としてマイクロパルス・レーザーがあります.マイクロパルス・レーザーは従来型で見られた網膜に熱損傷を与えず,従来型に比べて安全性と有効性が非常に高くなっており,当院では2019年2月に導入予定です.増殖網膜症では悪化し牽引性網膜剥離などが起こると入院手術(硝子体手術)が必要になります。硝子体手術は帝京大学溝口病院等の信頼できる先生に紹介しています.