糖尿病網膜症


糖尿病網膜症では網膜にある毛細血管が障害されます. 糖尿病網膜症は進行過程により,単純,前増殖,増殖網膜症に分けられます. 網膜毛細血管が脆いことによって,血液が漏れ(単純網膜症),網膜に十分に血液が流れなくなり、虚血状態になり(前増殖網膜症),虚血状態が続くと,新たな血管(新生血管)が作られます(増殖網膜症).この新生血管が出来ると,視力を悪化させる増殖膜が生まれ,網膜剥離や硝子体出血などが起こりえます. 糖尿病網膜症の合併症として糖尿病黄斑浮腫があります.網膜の中心部分を黄斑と呼び,糖尿病黄斑浮腫はこの部分が腫れる状態で,視力低下を引き起こします. 糖尿病網膜症の治療として,抗血管新生療法レーザー治療,ステロイド注射(ケナコルト®テノン下注射),硝子体手術があります. 抗血管新生療法は新生血管を引き起こす血管内細胞増殖因子(VEGF)という蛋白を抑える抗VEGF剤(ルセンティス®或いはアイリーア®)を硝子体に注射することによって,新生血管を退縮させる治療で,以前は加齢黄斑変性のみに保険適応でしたが,現在は糖尿病黄斑浮腫にも適応になっています.レーザー治療も網膜を凝固することによって新生血管を抑制させます.以前は新生血管と増殖膜が出現した場合の第一治療はレーザー治療でしたが,抗血管新生療法の有効性が非常に高く,レーザー治療が以前に比べて,行われなくなってきています.問題点として抗血管新生療法の治療費が高額であることがあります.抗血管新生療法は1回毎に健康保険で3割負担の場合,4万円以上がかかります. 糖尿病黄斑浮腫に対する治療として抗血管新生療法以外にステロイド注射があります. 当院ではレーザー治療,抗血管新生療法,トリアムシノロンテノン下注射を行っています.硝子体手術は専門病院に紹介しています.